早急の運命

 

早急か早急かこれでは何のことか分かりません。仮名で書くと「さっきゅう」と「そうきゅう」となります。昔は「さっきゅう」が正解でしたが、戦後少しづつ「そうきゅう」と読む人が増え、現在では辞書にも「そうきゅう」とも読むと記されています。  

 

先日、水戸黄門のテレビドラマ(黄門は東野英治郎西村晃佐野浅夫など、その他助さん、格さん、おぎん、とび猿などのお馴染みドラマ)を見ていたら、劇中で黄門さまはあるセリフで「さっきゅうに」と言いました。ところがその相手役の侍は「そうきゅうに」と言ったのです。 さすが黄門さまは学があると感心しましたが、現実のセリフの書面はどうなっていたのか?いささか興味があるところです。おそらく黄門さまのセリフと、相手役のセリフで、早急(さっきゅう)と(そうきゅう)を書きか分けることはしないでしょうから、やはり、黄門さまは言葉遣いが正しいということだろうと思います。 

 

間違いやすい漢字には字には、「早急」「重複(ちょうふく)」「川柳(せんりゅう)」「貼付(ちょうふ)」などいろいろありますが、いずれも一癖(?)ある字体、間違えるが当たり前かなともと思います。勿論、これらの本来の読み方は永い漢字の歴史の中で確立してきたものですから、尊重すべきものですが、時代が移り、生活様式も変わり、更に外国語が次々入ってきます。例えばコロナ関連だけでも、クラスター オーバーシュート ロックダウン ソーシャルディスタンス 東京アラート等々あっという間に新語が広まりしました 

 

「早急」に代表される、これら漢字のこれからの読み方の運命を考えると、「川柳」は別として、他の漢字は早急(さっきゅう)⇒(そうきゅう)のような運命を辿るのではないかと思われます。勿論、いかりじろうが心配しても仕方ありませんが。新しい読み方が生まれても、それなりに、時代に合った座り心地の良い読み方になることを期待しています。尚、歴史と伝統を守る(?)NHKは早急(さっきゅう)で統一しているそうです。 

 

 

  

よく売るる不愛想なる風鈴屋     並木重助 

  

風鈴の音色と売り手の無愛想な関係ないかな?