夏の風物詩 雷

雷の季節が近づいて来ました。子供の頃、夏、自然豊かな田舎の川で遊んでいると、やがて夕方近く、山に雲がかかり、ピカッと稲光が光り始めると、子供達は一斉に川遊びを止めて家路につきます。夏の夕方には同じような光景が毎日繰り返される時代があったようです。昔から「地震・雷・火事・親父」といいますが、地震は季節を問わず、その怖さは別格、火事は耐火構造の建物が増えて様子が変わり、親父はすっかり権威が無くなって存在感が薄くなっています。 そんな中で時々、大きな存在感を示しているのが雷です。遠くでゴロゴロと聞こえている時は可愛い(?)ものですが、大きな建物に雷が落ちて、そして、たまたま、その中にいた時などは、すさまじい音と振動が響き渡ります。さすが、地震に次いで二番目に恐い雷様の貫録十分といった感じです。  

 

さて、江戸時代は寒かったという説があります。 事実、天候不順というか冷害というか、東北を中心に餓死者が出るほどの凶作の年があったようです。 現在は地球温暖化が叫ばれていますが、天候、特に気温の変化の波は時代ごとにあるようです。 昔、毎日のようにあった夕立ちと雷が減ってしまったのも変化の一つかもしれません。 

 

ちなみに、我が国で雷に打たれて亡くなる人の数は年に20人以上と言われています。交通事故などに比べると少ないようですが、身近に潜む危険であると言えます。この面で世界一はブラジルで、年間100人が落雷によって命を落とすとのことです。

 

雷の怖さは、思わぬ形で襲われるところにあります。昔、高校の下級生が家の窓際にもたれていたところ、突然の落雷をうけて、雨樋から垂れ下がっていた電線から側撃を受け、隣の部屋まで飛ばされて死亡した事件がありました。また、長野県の高校生が登山中に雷に襲われて数人が死亡する事件もありました。山の上では雷は下から来たり、横から来たりするそうですから、逃げようがありません。 

 

夏の風物詩といいながら、近づいたら恐い風物詩です。幸い、雷の予報も発達してきており、登山や屋外スポーツの際には十分に気をつけたいものです。雷というとゴルフが危ないとよく言われますが、実はゴルフよりも釣りの方が危険が大きいそうです。太公望の皆様は十分にご注意ください。 雷予報が進歩しているとはいいながら、文字通りの「晴天の霹靂」もあります。先ずは遠くでゴロゴロと鳴る音に注意しましょう。 

  

夏嵐机上の白紙飛び尽す   正岡子規 

  

雷が一緒に来たらさらに怖いですね。