人生二毛作

先日、たまたま梅雨の雨の中、出掛ける用事があったの、雨でなければ、得意の(?)電動アシスト自転車で行くところをタクシーを呼びました。 運転手さんはかなり年配の方なので、物好き且つ好奇心旺盛ないかりじろうは「運転手さんは相当のベテランですか?」と質問しました。 すると「既に、50年です」と言う返事。 話しはそれから始まりました。 

 

その運転手さんは魚釣りが大好きで、タクシー勤務の休日の多いのを活用して、週に45日(つまり休日は全部)は釣りに行くそうです。 タクシー業務は、一回の勤務時間が長い代わりに、休日が多いので、月に13勤務として週、45日くらいは好きな魚釣りに行ける計算です。 更に、明石に自分の船を持っている本格派です。 

 

明石は、街の中心に魚の棚(うおんたな)と呼ばれる魚屋が並ぶ通りがあり、まさに魚の町です。 釣った魚は魚市場で販売するそうです。 有名な明石鯛を始め、スズキ・チヌ・ハマチ更にタコに至るまで、高級業も釣れるので、このような高級魚は大阪や京都の料亭などからの買い付けで、良い値段で売れると言うことです。 しかし、それら高級魚は生きた状態で市場に出さなければならないので、その辺りに気を遣うそうです。 今年になってから、コロナの影響で、魚の売れ行きも芳しくないそうですが、それでも一日に一万数千円はあるようです。 

 

最近は、兼業や副業の話題が盛んです。 以前経済雑誌で人生二毛作と言う連載を読んだ記憶があります。 しかし中年になって転職する苦労が記憶に残っています。 それに対して、その運転手さんは、タクシードライバーを続けながら、趣味の魚釣りも50年、しかも利益を上げながら続けています。 二毛作どころか、一人で二つの人生を生きている感じです。 趣味で始まった生き方でしょうが、明石と言う地の利を得て、どちらが本業なのかわからない、あるいはどちらも本業ともいうべき、実に見事な生き方だと感心しました。 いかりじろうも真似したいのですが、海釣りの経験もなく、なにより年齢的に間に合わないのが、残念です(悔しい) 

  

下町の風情残して釣忍    稲畑廣太郎 ホトトギス 

夏の軒下には、釣忍がよく似合います。