伊予の早曲がり

「伊予の早曲がり」と聞いても伊予(愛媛)出身の方以外は何の事か分からないでしょう! いかりじろうも初めは何の事だか分りませんでした。 ところが更に、名古屋走り、松本ルール、山梨ルール、播磨道交法といろいろ出てくると、車に乗る皆様はピンと来るのではないでしょうか? その通り、各地方の運転の癖と云うより、乱暴運転や危険運転を名づけたものです。 「伊予の早曲がり」は右折する車が信号待ちの段階で青信号になるのを見越してエンジンをふかし停止線を越えて、青信号になると同時に、あるいはその直前に対抗車より早く右折すると云う危険な運転を言うそうです。  

 

青信号での通行であっても対抗車の直進妨害になるし、大きな事故になりかねない危険な運転です。 各地の地名が付いていますが、とてもお国自慢にはならない中身です。 共通するのはいずれも、信号、通行区分、ウインカー等に関わる法規無視、あるいは勝手な予測などによる危険な運転です。 「名古屋走り」では交通信号の切り替わり前後に交差点へ進入する行為が「信号残り」と呼ばれ、黄信号にあってはためらいなく進入し、赤信号に変わっても状況判断によっては進入することが、名古屋走りの典型で、これを名付けて「黄色まだまだ、赤勝負」と言うそうです。 一方大阪近郊では(信号が完全に変わるのを待たずに発車する)見切り発車が多いそうです。 名古屋・大阪に隣り合う岐阜県三重県では出会い頭の事故が多い現象について、信号残り(名古屋走り)と見切り発進(大阪府近郊の走り)が混じり合う為であると云う交通工学専門家の意見もあるようです。何かうどんやそばのだし汁が地域によって違うのに似ています。 しかし、交通事故に直接かかわる問題ですから「アハハハ!」と笑っている場合ではありません。 何か救いや予防策はないかな?と探したところ、ありました。 「飛び出し坊や」です。 道路脇に飛び出し危険の表示と共に坊やが飛び出しそうな絵が描いてあるあれです。 

 

飛び出し坊やは、交通戦争が激化した約40年前、滋賀県八日市市社会福祉協議会が発案、地元の看板製作会社「久田工芸」が男の子型と女の子型の11体の飛び出し人形を製作、八日市市(現・東近江市)内に設置したのが始まりだそうです。 飛び出し坊やは現在、全国で作られ設置されていますが、漫画家みうらじゅん氏はこの元祖八日市型を0(ゼロ)形と名付け、滋賀県ではゼロ系のゆるキャラも作られていると云う楽しい話題もあります。 飛び出し坊やが生まれて40年、未だに悲しい交通事故のニュースが絶えません。 各地の勝手な走り、ルールは直に止めて欲しいものです。 

     

      万緑の中や吾子の歯生え初むる   中村草田男 
生命の発露、新緑の芽生え、我が子の歯が生え始める生命力、大きな生命と季節感を感じさせます。