スペインかぜ

このところ中国武漢から始まったと言われる新型インフルエンザのニュースでパンデミックという言葉が時々登場します。 パンデミックとは辞典で調べると、感染症などの国中の流行、あるいは世界的な流行を指す言葉だそうです。そして近世人類史上最大のパンデミックと言われるのがスペイン風邪です。スベインの名誉のために一言申し上げればスペインかぜという名称は Spanish-Flu(influenza インフルエンザ)に対する訳語として作られたもので「第一次世界大戦時に中立国であったため、情報統制がされていなかったスペインでの流行が大きく報じられたことから名付けられた」と言われています。(風邪は病名ではないとか、いろいろ説がありますが、ここでは、一般的に言われている名称に従います) スペインかぜは、記録にある限り、人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(バンデミック)です。 感染者は世界中で約5億人以上、死者は5,000 万人から1億人に及び、当時の世界人口は 18~20 億人であると推定されていますので、全人類の3割近くがスペインかぜに感染したことになります。 感染者が最も多かった高齢者は、基本的にほとんどが生き残った一方で、元気なはずの青年層では、大量の死者が出ました。

日本では、当時の人口 5,500万人に対し39万人(約0.7%)が死亡、米国でも50万人が死亡した。これらの数値は感染症のみならず戦争や災害などすべてのヒトの死因の中でも、最も多くのヒトを短期間で死に至らしめた記録的な数字です。流行の始まり、1918年3月に米国デトロイトやサウスカロライ ナ州付近などで最初の流行があり、世界大戦による、米軍のヨーロッパ進軍と共に大西洋を渡り、5~6月にヨーロッパで流行しまた。第2波は、19181 年秋にほぼ世界中で同時に起こり、病原性がさらに強まり、重い合併症を起こし死者が急増しました。第3波は、1919 年春から秋にかけて第2波と同じく世界的に流行した。そして、最初に医療従事者の感染が多く、医療体制が崩壊してしまって被害が拡大したため、これを教訓とし、2009年の新型インフルエンザによるパンデミックの際にはワクチンを医療従事者に優先接種することとなりました。医療技術や防疫手段、更には交通手段も、当時とは格段の違いがある今日、関係者の努力と一般市民の協力で、新型インフルエンザがこのような災厄にならないように、祈るばかりです。